断酒業界(?)では昨年辺りから話題になっている薬があります。大塚製薬から発売された、「セリンクロ(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物)」です。
本日はこの薬の紹介と、我々の永遠のテーマである減酒(節酒)と断酒について考えていきたいと思います。
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1.セリンクロ(ナルメフェン)ってどんな薬?
先ずはセリンクロ(ナルメフェン)がどんな薬なのか紹介していきます。
*面倒なので以下、引用文以外は「セリンクロ」で表記します。
飲酒前に服用する国内初の飲酒量低減薬
2019年1月8日、アルコール依存症治療薬ナルメフェン塩酸塩水和物(商品名セリンクロ錠10mg)の製造販売が承認された。適応は「アルコール依存症患者における飲酒量の低減」、用法用量は「成人、1回10mgを飲酒の1~2時間前に投与。ただし、1日1回までとし、症状により適宜増減するが1日量は20mgまで」となっている。
〜中略〜
ナルメフェンは、オピオイド受容体のうち、μオピオイド受容体およびδオピオイド受容体に対しては拮抗薬として、κオピオイド受容体に対しては部分的作動薬として作用する、選択的オピオイド受容体調節薬である。この作用機序により飲酒欲求が抑制されると考えられており、これによって飲酒量の低減作用を発揮する飲酒量低減薬である。
国内におけるアルコール依存症患者を対象とした、心理社会的治療と併用する第3相二重盲検比較試験(対照:プラセボ)とその後24週間の長期投与試験において、本薬の有効性が確認された。海外では、2018年11月現在、EU、オーストラリアなど世界40カ国以上で承認されている。
出典:https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201902/559874.html
なんだか難しい事が書いてありますが・・・超絶簡単に言うと、「依存症者の飲む量が減る薬」です。飲み会等の前に服用しておく事で、大量飲酒や連続飲酒を避ける事ができるという事で、依存症者が待ちに待った「待望の薬」とも言われています。
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2.実際に効くの?
色々なサイトを調べてみると、どうやら本当に効果があるようです。
・対象患者378例中、コホートAに330例、コホートBに48例が含まれた。
・コホートAの患者における1ヵ月当たりの大量飲酒日数の変化は、スクリーニングから第12週までで、平均-13.1日/月(95%CI:-14.4~-11.9)であった(p<0.0001)。
・全体として、DRLが2リスクレベル以上低下した患者の割合は55%、低DRLまで低下した患者の割合は、44%であった。
・最も一般的な有害事象は、悪心(18.3%)およびめまい(17.7%)であった。
・コホートBの患者は、12週間のフォローアップ期間中、低レベルの飲酒量を維持していた。
出典:https://www.carenet.com/news/general/carenet/47438
はい、これも超絶簡単に記載すると、「効果あったよ!」という事です。しかしながら、「適切な心理社会的介入」との記載もあります。実はココが一番大切な部分になってきます。
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3.結局は本人の意思が必要
標題の通りなのですが、結局は本人が「酒を減らしたい」「断酒したい」という意思を持たなければ効果が少なくなるという事です。「薬飲めば酒量が減るから大丈夫!」なんて気持ちでいると、結局何にも変わらない状態・・・と言う事にもなりかねません。そうならない為にも「適切な心理社会的介入」というのが必要になる訳です。
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4.永遠の議論「節酒」は可能なのか??
レグテクトが登場した時にも話題となりました。「依存症者に節酒(減酒)は可能なのか?」という問いです。アルコール依存症はしばしば「ブレーキの壊れた車」に例えられる事があります。一度走り出したら(飲み始めたら)止まらない。だから一番良いのは走らせない(飲まない)事だ。という事です。ですので、依存症まで陥ってしまった我々は節酒で維持する事は非常に困難です。
セリンクロを服用すれば、また適度に飲む事が可能になるのでは・・・?という議論がされますが、節酒が可能なのは、あくまで「依存症一歩手前」の人です。依存症者がセリンクロを服用すると、一時的に飲酒量は減るそうです。しかしそれは、「一発で断酒が出来ない人のワンステップ」でしかないのです。
量が減ったからよし!!と思って断酒をしないでいると、あっという間に元通りのようです。残念でした・・・・
・・・という話しをすると、「自分は依存症じゃない!」という人がいます。かなりいます。これこそ依存症が「否認の病」と言われる所以です。
↓下記の記事内に「依存症チェックリスト」があります。これで予備軍になった人は節酒じゃなく断酒をしよう!!
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5.まとめ
はい。まとめます。
「結局断酒するしかない!!諦めろ!!」
前述の通り、依存症にまでなってしまった人が節酒を実現させるのは、非常に困難です。私の周りにも「節酒派」の人々がいましたが、皆んな失敗しています。アメリカでは「節酒」を提唱した主催者自身が、飲酒運転で死亡事故を起こしています。そのくらい難しい事です。
逆の言い方をすると、「○○だったら飲めるかも」という思考自体が依存症の考え方とも言えます。(私は勝手に「隙あらば酒思考」と命名しました)
まずはスパッと断酒の決意を決める。どうしてもダメならワンステップとしてセリンクロに頼る。そして断酒へとステップアップする・・という気持ちを持たなければ、絶対に元の木阿弥になります!!絶対に!!!
無理は禁物ですが、「隙あらば酒思考」から脱却し、新たな思考を構築できるように、日々鍛錬を積んで行きましょう!!!
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